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たらこ唇


名前:たらこ唇

迷惑度:★★★★★★★★
笑い度:★
奇妙度:★★



 迷惑な客の代表。名ゼリフ「今何時だと思ってるんだ!」を残した。

 夜中の一時ごろ、普通に仕事してまして、このお客さん(と呼ぶのも鬱陶しい)がやって参りました(敬語を使うのも鬱陶しい)。でレジで買い物をしたんですが、レジでお金を投げました。
 個人的にそういう客は嫌いで、そういう行為をする相手をロクなヤツでないなと俺はいつも勝手に判定します。だからと言って別段接客は替わりませんが。のちにこの判定は事実に裏づけされた確定へと変わって行きます。

 レジから離れるとき、このたらこ唇のお客さんはその買い物袋を持ったまま、レシートを店内に投げ捨て、本コーナーに向かいました。立ち読みでもするつもりなんでしょう。そこで今度は、納品されたばかりで、ついさっき検品し終えて積んである雑誌の山を、立ち読み中になぎ倒しておりました。レジでお金を投げる、という行為でここまで人間性が読めるとは。

 が、こんなものではありません。

 俺がレジ横の事務所内で仕事をしていると、「おい店員!」とお客様に偉そうに呼ばれております。何事かと思って見てみると、先ほどの金を投げレシートを捨て本をなぎ倒す三冠王のたらこ唇が、何やら弁当コーナーでお怒りのご様子。
「どうされましたか?」
「こんな古い弁当を売るのか!」
 と言って突きつけられた弁当は、賞味期限は切れてない、コンビニのグループ内で販売を許可された範囲の時間帯のもの。
「どういう経営をしとるんだ!」
「いえ、これはまだ賞味期限切れてませんし、また本部のほうからもまだ販売を認められているものです。」
「そんなことは知らん。責任者を呼べ!」
 現在夜中の一時です。オーナーはバイトの俺の無駄な苦労を知らず、夢の中。
「ええとですね、これは販売してもよい時間のものです。さらにオーナーは現在は店にいませんし、第一この時間は家で寝てます。」
 ここで驚くべきセリフがたらこ唇によって装飾された口から出てきます。

「今何時だと思ってるんだ!」

 一瞬理解できませんでした。普通にこっちのセリフです。「この時間にこんな古いものを売るな」という意味だと気付くのに、瞬き2回ぶんくらいの時間、このたらこ唇のオヤジの顔を見て考えました。

 とりあえずそんな要求は馬鹿馬鹿しいので、こっちから妥協案を提案。
「・・・ついさっき、夜の10時くらいに来たお弁当をまだ並べてないのがあるのですが、そちらでよろしいですか?」  心の中で「このたらこ唇」というセリフを付け足しながら、それでも丁寧にお伺いする。その弁当の時間を買う人するたらこ唇。
「・・・賞味期限は明日の午後6時・・・明日の夕方までか。こんな古いのはだめだろう!」
 人の話を聞いてないんですか。
「これが一番新しい商品なんですが・・・」
「夕方まででは古いだろう!」
「ならお前が発明しろよ、このたらこ唇!」
 なんてセリフは言えるはずなく、とにかく「これが一番新しい」「それ以上は地球に存在しない」ということを何度も説明し、ようやく納得してもらう。

「そうか、これが一番新鮮な弁当なんだな。」
 どこでニホンゴ習ったんでうか。
「じゃあこれを並べろ。こんな古いのは全部捨てろ。」
 もうかなりうんざりです。
「・・・廃棄の時間は本部で決められてます。(勝手に命令しないでくださいタラコ唇)」
「いいから並べろ。」
 仕方なく並べ始めます。その間、人間型をした尊大な生き物は横で腕を組みながら、人の作業を偉そうに見下ろしてます。
 その時、丁度レジに客さんが来たんで、レジに行きます。これは当然です。頭髪と同じように脳みそも足りなさそうな、人間型をした尊大な生き物でもさすがにそれは理解できるらしく、「こっちが先だ!」などということは言ってきませんでした。

 レジをします。ぴ。ぴ。たらこ唇の方から音がします。どしゃ。どしゃ。

 何事!?と思ってたらこ唇のほうを見ると、弁当を入れ物から取り出して探すのはいいんですが、一度手にして中身を見て、その弁当が気に入らなかったらそのまま手を離し、下に落としてます。さすがにこれは商品に損傷が生じる、非常識極まりない行為なので、速攻注意して止めさせました。

 この金を投げレシートを捨て本をなぎ倒す三冠王で、夜中に責任者を呼べといきり立ち、人の話をちっとも聞かずにこっちのセリフを平気で言える、頭髪と同じように脳みそも足りなさそうな、それでいてニホンゴをどこで習ったかも皆目見当つかない、商品に損傷が生じる非常識極まりないことを平気でする、人間型をした尊大なタラコ唇生命体が、やたら時間にこだわり、必死に探して選んで買った弁当は280円のミニかつ丼でした。店のレンジで温めて、すぐに食べたようです。



以上より、

名前:たらこ唇
迷惑度:★★★★★★★★
笑い度:★★
奇妙度:★★

ひたすら迷惑でした。




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