update2004.12.27

10-FEET / REALIFE  (2004.4.1.28)


 僕の友人に無理してやたらにカッコつけようとするけど中身はアホという男がいます(あだ名:アホリカン)。例としてエピソードを上げると、イニシャルDを読んでいたく感銘を受けた彼は、主人公藤原拓海を真似して車内のドリンクホルダーに紙コップを置いてそこに水をなみなみと注いで出かけました。本人はカッコよく帰ってくる気だったのでしょう。水びたしで帰ってきました。「あほあほー」と散々に馬鹿にしてからかいました。夜電話したらバイト先の店長に追いかけられて夜の繁華街を走って逃げてる最中だった、なんてよく解らんときもあったな。
 それでもめがずに次の失敗を繰り返す、またからかわれる。彼が持って生まれた部分もあって、めちゃくちゃ親しみのあるキャラです。現在実家の農家を継いでいる彼は、今頃ホストみたいなシャツ着ながらトラクター運転してメロンでも栽培してることでしょう。やっぱりアホだ。

 カッコつける、でもアホ、親しみのある。これって、表裏を感じるこの落差って、すげえ人間味があることね?
 そんなわけで97年結成京都出身の3ピースメロコアバンドの10-feetです。2ndアルバムをリリースした彼らは、僕にとっては親しみのある人間味溢れるキャラクタになりました。




 1stアルバム"SPRINGMAN"(2002.4.12)はニッポンメロコア業界激震の言葉に相応しく、日本型正統派メロコアサウンドに聴きやすい日本語歌詞を多用するという単純なロジックによって「カッコ良く聴きやすい」が生まれたものでした。あとこのジャケットね。商業的な成功を収めるのに必要な「覚えやすさ」と「カッコよさ」、両方を兼ね備えた一品だと思います。
 そりゃあ関西人特有のライブパフォーマンスに定評があるとか、様々な音楽要素を取り入れた幅広い音楽性であるとか、雑誌の記事やらWeb上の情報やらで付随する要素をたくさん目にしましたけど、ここまでだと10-feetはよくあるカッコいいメロコアバンド。少なくとも1stアルバムにのみ触れただけだとその域を出ませんでした。

 ところが一転。2ndである今作"REALIFE"の最大の特徴は、ヒップでホップなレゲエな独自ヴォーカルスタイルをふんだんに盛り込んで作られている点です。これは彼ら自身の前作と比較した意味でも、他の日本のメロコアバンドと比較しても。
 これが面白いのな。だって彼らってただでさえ日本に2,000万人の支持者がいると言われている(朝●新聞調査)ブサイクメロコア業界に、B-DASHに続いて登場したポジションでしょ。バンド名も微妙にかぶり気味だし。
 基本的にメディアに変顔で露出してブサイクキャラのポジション狙ってる彼らが、顔歪めてそうな声で歌ってるんだもん。やりすぎじゃね?そりゃ母も泣くよ。「ヒップでホップなレゲエな独自ヴォーカルスタイル」と言えばなんかカッコよいけど、要するに変顔で歌うこと。彼らの音源から想像できるのは彼らの公式サイト(下にリンクあり)のプロフィールのときの顔なわけ。オイオイ、散々カッコつけてたのは何なんだよみたいな感想になるわけです。もちろん良い意味で。

 カッコつけたアルバムの後に出たのがこんな感じじゃあさ、人間味溢れてて親近感が沸いてしまってしょうがない。え?これ俺の友達のバンド?みたいな。現実の自分の人生に会った色んな人を思い出してしまうほど。正に"REALIFE"。




 散々1stと2ndのギャップについて書いてましたけど、BARKSのインプレッションランキングで「歌詞」が一番であることが如実に語るとおり(2004年12月現在)、彼らは今作で時折関西弁を交えたメッセージ性の高い楽曲をメインに置いているのも見逃せません。
 個人的にはトラック12"GOODBYE TO ROMANCE"にすっげえ言語センス感じました。「失恋」と「失業」を並列で書く歌詞を初めて見たよ。"REALIFE"てきっとそういうもんなんだよ。


オフィシャルサイト:http://www.10-feet.com/




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