update2005.5.26

ACTION / ACTION  (2004.9輸入盤)


 一般的には「レビュー」、このサイト内では「音楽テキスト」と分類する当サイトの文章群は、特に「オススメ」というスタンスで書いてるわけではありません。
 もちろん、場合によっては「こんな方にオススメ」と健康器具の煽り文句ばりにロクな根拠もないフレーズを無責任に添えたりすることはありますが、基本スタンスとしてはあくまで「感想文」です。感想文だから良いも悪いも含めて書く。もう主観だらけ。まあ、それがレビューの本質であるのは読んでる皆様に理解してもらったうえで。
 そんなこと言ってもとりあえず紹介するCDに何らかの興味があってこれらを書いてるわけですから、書く対象がオススメであったり自分が大好きだったりと色々であるわけで、その度に書くスタンスが異なってくるわけです。

 今回取り上げるのは自分が強烈に気に入ったものです。このサイトを暇つぶしで見てる人や何かの間違いで一日3回見てる方、俺の文章を面白くないとか事実誤認の部分を探してあげつらってるとかで嘲笑してるヤツ、もちろん通りすがりの人も全部まとめてこのサイトの"SOUND"をクリックしてMP3ファイルをダウンロードして聴きやがれ。僕は一発でノックアウトしました。流れるような連続技で、即日アマゾンで注文。現在の愛聴盤の一枚、iPodにもプレイリストで全曲持ち歩き。これが僕のリアクション。

 某少女漫画に登場するパンクバンド"BLACK STONE"よりは随分とマシだけどいまいちパンクらしくないバンド名を名乗るストリートパンクバンドACTION。1999年結成の若手バンドのPUNKCOREレーベルよりリリースのセルフタイトル。





 ロックやパンクの各種レビューにおいて、「ストレートなサウンド」なんて表現を良く目にします。この表現は確かに使い古された陳腐な表現ではあるけれど、実際に硬派であったり正統派であったりで、つまりはストレートなロックを奏でるバンドが多いからこそこの表現が多用されるし、多用されるからこそ陳腐になるわけじゃんね。陳腐ってのは馬鹿にできない要素です。

 そしてこのACTIONのアルバムなんですが、ちっともストレートなパンクではありません。陳腐な表現など薄毛のスパイキーヘアぐらい似合わない(むしろ止めたほうが良い)、ストレートじゃないストリートパンク。マジでこんなセンスのないダジャレみたいな形容がぴったり。
 言うなれば、芸が細かい。バンドロゴが象徴するとおり、VIRUSっぽい骨太なストリートパンクなんだけど、彼等の特筆すべき個性として楽曲の随所で見せてくれる「芸の細かさ」を挙げられると思います。
 例えば#3"MAN'S LAW"や#6"NO ONE KNOW"などの曲展開の妙。これは少なくともパンク、しかもここまで見た目にも強烈なパンクの方がやるには珍しい観はあります。#3"MAN'S LAW"に至ってはピアノで盛り上げを演出する箇所まであるし。

 この芸の細かさってのは他で例えるなら音楽性はやや違うけどNOFXとかかな。さらに言えばNOFXとNO USE FOR A NAMEの関係で想像してみると伝わりやすいかもしれません。もちろん(デブのクセに)芸が細かいのがNOFX、不器用なまでに正統派メロコアなのがNO USE。NOFXってまあ政治的キャンペーンを打ち出したりカバー専門別バンドを結成したりする部分なども芸が細かいと言えなくもないけど、それ以上にNOFXらしさを崩さない上での個性的な楽曲が多いですよね。
 ペイントしまくった鋲ジャンで完全武装なパンクスですから、NOFXみたいな活動をするとは到底思えないんですが(ちなみに余談ですけど、散々パンクな行為として注目を集めたROCK AGAINST BUSHキャンペーンについて、個人的には是非とはまた別な次元でこの「キャンペーン」はむしろパンクな行為とは思えないです。面白くはありましたけど)、サウンド面に関してNOFXが持つような面白さを保ってくれるなら。今後も注目して行きたい存在ではあります。





 実は彼ら、出身がカナダなんですね。カナダのトロント。個人的な感触としては、カナダ出身のバンドには「ストレートな〜」という冠詞を伴って登場するバンドてのはあまり居ないように感じます。少なくとも、パンク系などのうるさいロック方面で、セールス的に大きいバンドにはほとんど居ません。ACTIONみたいなバンドが出てくる背景には、こんな土地柄も関係してるかもしれないですよね。ロックやパンクの世界、地域って重要ですから。

 ちなみに彼等自身のWebサイトによると、彼等のサウンドは初期から80年代中期のUKや北欧のハードコアパンクを基本としているそうです。具体的なバンド名にはDISCHARGEを挙げている。
 これについては自分の誤訳かと疑うほど、この説明にまったく同意できません。とんでもない。そりゃこういうバンドだからさ、DISCHARGEの要素とかあると思うけど、それだけでは言い表せない部分がACTIONの面白さじゃん。きっとアヴリルちゃんを育てた土地柄だよ、と無理矢理に締めてみる。


オフィシャルサイト:http://www.actionpunks.com/




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