update2003.9.11

911 For Peace
ANTI-FLAG
MOBILIZE  (輸入盤2002.2.19)


 アメリカのパンクバンド。



 遠い昔にどっかで聞いた話で、記憶があいまいなんですが。

 リンカーンのゲティスバーグの演説は、分かりやすい簡単な単語を多く使ったそうです。訳文や原文はこちら。興味あるかたはどうぞ。それは、あまり英語を理解していない黒人に対しても分かりやすいように、という配慮だったそうです。それは、それこそは、まさにリンカーンが国民に平等に接しようとする精神を表すものだと思います。多くの国民に演説を伝えたい、と。
 そして、その演説の中で有名な「人民の、人民による、人民のための政治」という言葉が使われました(ここでトリビア。この言葉、リンカーンのオリジナルの言葉ではないそうです。へぇ)。人々の心に響く名言ほど、実は簡単な言葉だったりするというのは、言われてみれば納得できる話だと思います。

 という前振りで強く紹介したいのが、このアルバムの1曲目「 911 For Peace 」。曲名から解るとおり、2年前のテロを歌った曲です。

 僕がこのCDを買ったきっかけというのは、友人にこの1曲を聴かされたからです。1回聴いただけで「これはいいじゃーんちょーやべー」というノリで、翌日にタワレコで購入。
 コーラス(サビ)なんですが、センター試験突破のための高校英語を学んだ程度の僕でも、1回聴いただけで解る歌詞でした。
> I don't want to die. ( I don't want to kill.)
> I don't want to kill. ( I don't want to die. )
> We are all human.
> It's time to prove it !

 実は最後のワンフレーズだけ耳で聴いて解らなかったんですが(ここは笑うとこだよ!)、この言葉に非常に惹かれてしまったのです。
 ギターがなんかメロコアっぽいけど、でも世間で定義されるジャンルから言えばメロコアファンに「こんなのメロコアじゃねえよ」と言われそうな、「パンクじゃねえよ」逆現象が起きそうな感じ。



 建国の歴史は浅いものの、世界の歴史の表舞台で常に中心にいたアメリカ。その中心の荒波に日本もいろいろ巻き込まれてるわけでして。

 そんなアメリカが現在、テロもしくはテロリズムと闘っている。

 でもね。なぜテロがアメリカを狙うのか。それはいろんな国家の歴史にアメリカが首をつっこんだ結果だと思います。日本だって歴史を捻じ曲げられ、見事に誇りを傷つけられている。日本人、もっと怒ってもいいんじゃないかな。敗戦国だからと言って必要以上に貶められる筋合いない。東京裁判クソ食らえ。
 そして。2年前のテロで被害を受けたアメリカ人もそろそろ政府に対して怒るべきじゃないでしょうか。テロに狙われる国家となってしまった責任を問うべきじゃないでしょうか。「なぜ自分たちがテロリズムと戦うのか」と。アメリカという国の体制を批判してはどうか。テロに狙われる原因など知らないふりで、結果のみで行動を起こす。どうよ。

 テロな亡くなった被害者から見れば、アメリカという国だって充分加害者だろ。

 その国が被害者ぶって他の国への爆撃を正当化してるんじゃねえよ。人道的爆撃という恐ろしく矛盾した言葉を、なんとかこの世から排除したいもんです。

 でも、それは起こらない。なぜならアメリカという国のキーワードに「愛国心」という言葉があるからです。義務教育の学校では毎朝の朝礼で、国家を象徴する星条旗に忠誠を誓うような国です。

 その星条旗( FLAG )に対し、ANTI-( アンチ )を唱えるバンド、アンチフラッグ。

 そして殺し合いを否定し、人間であることを掲げ、「今こそそれを証明するときである」と歌ったのがパンクバンドだったという 国家。国家である以上、攻撃に対し報復措置をするというのは当然と思うのです(さっきの「アメリカも加害者」、というのとはまた別の視点の話です)。ただ、それでは結局争いが止まらない。実際、アメリカの報復攻撃というのは「報復攻撃への報復攻撃」であり、まさに永遠に殴り合うボクシング。そこにレフリーはいない。血はどちらかが死ぬまで流れ続ける。地球というリングを血で染めながら。
 でもリングの外からの声で、片方が助かるかもしれないなら、話し合いで妥協点が見つかるならば、「止めろよ!人間同士なんだから!」と言ってみる価値も充分あるわけでして。
 だから。国家がだから報復攻撃は当然と投げ出してしまうよりは。(本来はすべての人間が表現者だと思うんですが、狭い意味で)なんらかの表現方法を持つ人達がこのような形で反戦を唱えるのは意義があると思います。何もしないよりは。

 それで、世界が本当の意味の平和に1歩でも近づければいいなあ、と単純に思う。このCDが世の中に流通している意味は有意義だと思います。コンパクトディスクから始まる平和も悪くない。ていうか、コンパクトディスクに入っちゃう平和か。平和って小さいね。



 と。バンドやCDとはずいぶん関係ないことがダラダラ続いたけど。ギターのくっきりした音とコーラス重視の曲が多くで、非常に聴きやすいと思います。好き好き。




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