update2004.9.14

ASHLEE SIMPSON / AUTOBIOGRAPHY  (2004.8.25日本盤)

 愛嬌あるタレ目と逞しい割れアゴがチャーム(チャーム?)ポイントなアシュリー・シンプソンちゃん、19歳のティーンネイジャー。
 「シンプソン」という名前から解るとおりMTVに新婚生活を潜入取材させたやや露出狂気味なポップダンスアイドルであるあのジェシカ・シンプソンの妹であり、なおかつ姉とはまったく違う音楽、元来自分が好きだったと語るサウンド「ロック」のアルバムで全米デビューし、姉の記録を上回るビルボードアルバムチャート1位を獲得、姉を見返しその巨乳を張る。



 日本にせよアメリカにせよ、今売れる女性シンガーの要素として「自分で作曲ができる」というのは間違いなくあると思う。2000年以降というのは正にシンガーソングライター時代であり、かわいいだけではアイドルになれないのが実情だ。ブリトニー・スピアーズですらJETのメンバーに「才能ないアーティストを次のアルバムにゲストで迎えたい」と言われる始末(このとき、アシュリーの姉ジェシカもブリトニーと並んで皮肉られている)。
 日本では宇多田ヒカルがブレイクした。椎名林檎が「自作自演」という言葉でプロモーションを展開した。hitomiは小室哲也のプロデュースを離れ、自らも曲の製作に関わりだした現在の方が説得力を持っている。
 アメリカではそれに拍車を掛けて「ティーンネイジャー」つまり10代という要素も色濃いものとなっている。17歳(2001年)のミシェル・ブランチが「そこそこ可愛い+シンガーソングライティング」の道を開き、同じく17歳(やっぱり2001年)のアヴリル・ラヴィーンが「かなり可愛い+そこそこソングライティング」でその後に追従した。どうでもいいけどこの「そこそこソングライティング」て今思いついた言葉だけど語呂が良くてなんか笑えるね。みんなも早口で言えるように練習するといいよ。

 それはさておき。そんな時代背景の中で登場し全米でブレイクしたのが彼女がアシュリー・シンプソンです。

 彼女から(正確には彼女をプロデュースしている側から)はこのフォーマットに従って彼女を売り出そうとしている意図を明白に感じます。「歌っている本人が作詞を担当している」というのはまったく珍しくないのですが、彼女もプロデューサーであるジョン・シャンクス(ミシェブラをプロデュース)と一緒に曲を作っています(日本盤のライナーより)。
 ここでアシュリー・シンプソンの売り方をもう一歩踏み込んで見てみると。アヴリル・ラヴィーンのデビューはライブでの歌唱力はやや不評だったものの、それでも完成度高くパッケージされた存在であったのですが、アシェリー・シンプソンは、その完成度をさらに高めてパッケージされた存在であるように思います。ちなみにアヴリルとの比較の話になると、僕がテレビで観た限りはアシュリーもライブでの歌唱力に不安がある感じでした。これもアヴリルのデビューとの比較の上では絶対にはずせない要素だと思います(笑)。

 じゃあどんな風に完成度をさらに高めたか?が以降の続きのお話となります。



 姉のデビューと同時に自らも姉のバックダンサーとしてショウビジネスの世界に入り、さらに役者にもなってTVドラマに出演する。歌手デビューの話も舞い込んできてあれよあれよと全米でブレイク。
 これが彼女のデビューまでの簡単な経緯なのですが、やはりジェシカ・シンプソンという成功を手にした姉の存在は大きいと思います。それを調味料(かなりの高級調味料であることは間違いない)にして「姉への嫉妬」「日陰者の自分(髪を黒く染めて演出)」「家族へのトラウマ」という味付けを行い、シングルカットされるであろうトラック3の「SHADOW」で歌うことにより彼女のキャラクターという味が濃くなる。

 ・・・とまあこんな感じで前述のミシェブラやアヴリルにさらにキャラクター性を持たせることにより、「ティンーンネイジャー」「シンガーソングライター」「かわいい」さらに「キャラクター性」「おっぱい」と複数の要素(最後は余計か)が揃い、見事なパッケージが完成するわけです。さらに言うならアヴリルに「おっぱい」は全くと言って差し支えないほど無いしな。

 「自叙伝」というアルバムタイトルは、成功した姉を持つなどの前述した背景を持つからこそ意味を持ち、なおかつキャラクター性を高めるキーワードだと思う。

 ただこのキャラクターの確立が、「彼女自身が発しているもの」じゃないのが悩みどころじゃないでしょうか。キャラ確立において彼女自身が発している要素として大きいのは「黒髪と金髪どっちが良い?」なんて論争が起きる部分だけですから。
 日本で言うところのSAYAKAに近いものがあるかもしれません。まあ松田聖子の娘というだけで戦略も何もなく、本当に文字通り「何となくデビュー」した彼女よりはロックというキーワードによって「反骨精神だぜ」「自分日陰者っす」「自分を解って欲しい」なテイストをちりばめる工夫があるわけですけどね。
 ほら、バンド単位の活動が多いロックの世界だと「自分(たち)で作曲します」が普通だから、「シンガーソングライティング」も不自然じゃなく様になるし。

 まあそのロックの部分もきっとロックファンからは「これロック?」なんて言われそうな内容ですけどね。まあアイドルが「手法」として用いるロックではいつでも言われることですけど。むしろ本格的にロックしてるような、例えばディスティラーズのブロディをアイドルとして感じるのは、きっと一部の方だけですから(USメインストリームパンクロック界で考えれば充分にアイドルの立ち位置ですけどね、恋愛絡みのプライベート・スキャンダルで話題になってるし)。
 ミシェブラのプロデューサが「ミシェブラよりあまり口を挟まれずに作曲した」からかどうかは定かでないですけど個人的にはルックスとは違った声(けっこう色んな声出せてる)が曲に合ってていいなと思います。

 ただ、正直、売れるキーワードをここまで取り揃えたけど、どうも取り揃えすぎの観は否めません。とりあえずスタートダッシュは成功したんですけど、すでに売る為の作戦を使い切った気さえします。「自叙伝」なんて実際はもっと歳を経た後に意味があるものですしね。正直先行きは怪しいんじゃないでしょうか。
 自叙伝なんてアルバムを出したことが、後で皮肉な結果にならないことを祈るばかりです。



 ところで話はまったく変わって。エロい身体ですよねー(鼻の下を伸ばしながら)。ヴォリューム満載デブ巨乳じゃなく、日本人向けにエロいスタイル(目じりを下げながら)。TVKの番組のインタビューも胸元が開いた大胆なシャツはすごかったですマジで(話はまったく変わってない)。ちょっと足が逞しいけど、それもセクシーヴォイスでカバー!

公式サイト:http://www.ashleesimpsonmusic.com/
公式サイト日本:http://www.universal-music.co.jp/u-pop/artist/ashlee_simpson/index.html




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