CUNE / ナナイロスマイル (2004.1.21)
大阪出身の胸キュンさわやかギターロックバンド、CUNEのメジャー2枚目のアルバム。
hitomiの"SAMURAI DRIVE"のカバー元だったことが、世間(音楽ファン)から注目されるきっかけとなってしまった彼等。商業的な思惑などはさて置き、彼等が次のステップに進むための目標は脱・SAMURAI DRIVEバンドじゃないかと思います。
どうやってそのイメージを払拭するか。このアルバムのテーマはそこじゃないかなと思います。
個人的に、その狙いはこのアルバムタイトルがカタカナであることかなと感じました。
カタカナで書かれたアルバムや曲のタイトルというのは、しばしば目にします。誰もがすぐに思いつきそうな、記憶に新しい範囲の大ヒットアルバムとしてはMr.Childrenの"シフクノオト"があります。他にもTHE BLUE HEARTSに"ロクデナシ"という曲やTHE★SCANTYに"マバタキ""コイバナ"、他にも意味不明だけど"ヒメアカタテハ"、右翼の左翼に対する批判用語を思わせる"ヒダリムキ"、他にも"レイメイジダイ""アザヤカナハナ""ソンナコトイエナイ"などがあったり(全部誰の曲か解かったらすごい)、またそれら音楽から離れたところでも例えば漫画の台詞とかでも見ることがありますよね。この場合、どちらかと言うと漢字やひらがな交じりのフレーズとは違ったイメージを受け手側に伝えようという意思があります。「狙っている」と言うと解かりやすいかもしれません。
さて。このCUNEのアルバムですが、タイトルは"ナナイロスマイル"。"GREAT SPLASH"が水しぶきで、その後にできるのが虹で、そして笑顔で…という連想でこのタイトルにしたといった具合でしょうか。そこにさらにアルバムタイトルをカタカナに表記することで受け手側へのイメージを狙う。このアルバムはこのタイトルだけで商品としてのイメージ戦略をひしひしと感じます。実際、CUNEがスローガン的に用いる「胸キュン」という言葉のイメージにも合致しますし、上手いラベル付けだと思います。
この記事を読むと、まずこのアルバムタイトルがあって、そして曲作りに入ったと思われる記述があるので、これだけでもこのアルバムタイトルの持つ意味が大きいかが読み取れるでしょう。
ただ、結果としては、作った感がたっぷりなアルバムになってしまったように思えます。
このタイトルにこだわるあまり、徹底的なバラードソングを添えたり、意図的に強調したラップ調の曲を交えたりすることを行ったとか、まさにプロデュースの跡が見えてしまうのが個人的に気になります。ロック系アルバムでは一曲バラード入れるだけで「ヴァラエティ豊かな楽曲」という評価を得やすいですからね。
アルバムタイトルから感じとった所感を並べた結果、どうも貶めている感じになってしまいましたが、決してそんなつもりじゃなく。
あくまでアルバムタイトルが持つのはイメージだけで、サウンドとしては"GREAT SPLASH"と同じ路線であるし、SAMURAI DRIVEバンドとして違和感なく聴けてしまう。音楽性というか、さわやかロック路線は同じアルバムです。紛れもなく胸キュンサウンド。#1"東京"、#2"カノン"とかの路線はむしろ無くしてほしくないほどのテイストです。良い曲ですよ。
その意味では、脱SAMURAI DRIVEバンドという面が(あったとすれば)失敗じゃないでしょうか。愛はどこからやってくるのでしょう。いつもの所でした。でもそれはそれでいいじゃん。
歌詞をカタカナにしても音楽として耳で聴くうえでは平仮名でもカタカナでも同じですよね。このアルバムは要するにそういうアルバムです。
オフィシャルサイト:http://www.cune.tv/
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