DEVOTCHKAS / ANNIHILATION （2000.9.??輸入盤）
バンド名はロシア語で「女性」を意味するそうなのですが、意味とかの前に僕にはまず読み方が解りません。とにかくDEVOTCHKASは1996年結成女性4人組（一時期ドラムが男性でした）のニューヨークストリートパンクバンド。そんな彼女たちの2枚目のCD音源がこちらです。
とりあえず最初に注目すべきはジャケットですね。表面は漫画化された4人のメンバーの絵なんですが、裏面はメンバーそのままの写真でして、これがニワトリが相手を威嚇するために羽を広げてるみたいな髪型にデヴィ婦人級の真っ赤な口紅で、その片面のギャップには激しいものがあります。お前ら絶対鳥類意識してるだろ。ていうかヴォーカルのステファニーなんか明らかに漫画版の方がおっぱい大きいし。オープニングトラックの曲名"ONE-SEIDE SOCIETY"てそういう意味かよ。
DOLLだったかな、彼女たちが「CASUALTIESの女性版」という言葉で紹介されてたんですが、ちょっと納得できない。
もちろん個人の感じ方や表現の仕方は人それぞれでなおかつ自由なものだから、それについて干渉したり感情的になるつもりは全くないんですけど、とりあえずここでは自分なりの感想とか認識を書きとどめておこうと思います。いろんな意見が展開されるのがインターネットの魅力だしね。
現段階の僕の狭い音楽知識ですと、ストリートパンクと言うとPUNKCOREレコードしか思いつきません。そんなパンク知識の浅い僕ですら知ってるPUNKCOREから音源をリリースし、かつそのPUNKCOREのストリートパンクバンドの中で（たぶん）唯一日本盤までリリースしたことから察するに、おそらく日本で最も売れているだろうストリートパンクバンドはCASUALTIESじゃないでしょうか。そしてこの「最も売れているストリートパンクバンド」という点より、彼らは少なくとも日本国内ではストリートパンクバンドとして一つのスタンダードじゃないかなと考えます。
そんな基準があるから、DEVOTCHKASはそのCASUALTIESの女性版と表現したりするのも解るっちゃあ解ります。アップテンポなリズムにシンバルばしばし言わせるドラム、単調なリフを繰り返すギター、音の壁の骨格を作るベース。比較の話をすればCASUALTIESほどギターの音がぶっ壊れてるわけではないですけど、ルックス的にも派手な色のスパイキーヘアだとか他にも通じるものが多いのも確かです。
だけどそれ言っちゃうと同じ音楽ジャンルだから「VIRUSの女性版」「A GLOBAL THREATの女性版」とかさ、何とでも言えちゃうじゃない。個人的にこれらのバンドの違いを明確に説明できないからこう思うのかも知れないけど、僕は「～の女性版」という、生物的にはともかく社会的に男女平等なこのご時世に不似合いな表現より、彼女たちらしさを充分に現す言葉を使いたいと思います。
それは端的に言ってしまえば「かわいい」です。
さらに言うなら「意外にかわいい」。
言い換えるなら「思ったよりかわいい」。
これは単純に女性バンドだからかわいい、というわけではないですよ。それは確かに半分は当たりだけど裏を返せば半分ははずれ。なぜならヴォーカルのステファニーは決してガラガラダミ声というCASUALTIESの女性版ではないものの、しかしそれなりに雰囲気を出せる低い声で歌ってます。これでは萌えれない。かわいくない。
ところが一転してコーラスで女性4人が声を合わせると、その声が高い高い。それまでの一生懸命低い声で歌っていたステファニーの声や散々鳴り響いてた爆奏から飛びぬけた高い位置からの目立つ声なんですよね、これ。これがかなりかわいい。これは萌えれる。
この萌え要素は結局のところ眼鏡っ子が眼鏡とったら美少女ってのと通じるものがあるんだよ(僕はトミフェブよろしく眼鏡のままでもかわいいってのが好きだけどさ）。うるさいパンクだったけど、コーラスがかわいかった、みたいな。このギャップは立派な萌え要素ですよ。
そしてそれがいつの日にか世間に認知されるようになり、最終的にはオタクのオタクによるオタクのための漫画「ネギま！」にスパイキーヘアのパンクス美少女が登場するわけよ。それを実現する可能性を持っているのがDEVOTCHKASなわけ。「～の女性版」とか言ってる場合じゃないっつーの。
彼女たちを紹介する歳の枕言葉に相応しいのは「CASUALTIESの女性盤」より、「萌えれるスパイキーヘア」、これだね。
ちなみに僕はもしかしたら彼女たちを表現するのに「萌え」という単語を使った初めての日本人だと思うのですが皆様如何でしょうか。
最後に小ネタ。トラック2"DISAPPONTED"は2回目のサビに入る前のメロは「どうなってるの」って言ってるように聞こえます。ブライト艦長かよ。
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