update2004.5.12

incubus / Mornig View  (日本盤2002.1.9)

 大御所へヴィロックバンドKORNのファミリーであるためにへヴィロックバンドと位置付けされるアメリカの5人組バンド・incubusの、あんまりヘヴィじゃない4thアルバム。
 DJが居てターンテーブルをこすこすしてきゅっきゅーきゅっきゅーな音を添えつつ、胡弓(三味線を小さくしたよな擦弦楽器)やらディジリドゥ(オーストラリアの先住民アボリジニーの1m以上ある笛)やらジャンベ(アフリカの原住民が用いる腰につける太鼓みたいな打楽器)と言った民族楽器を使うという、個性的なサウンドを展開。
 そしてバンド名である「incubus」は「背徳へ誘う夜の悪魔」「夜這いして女性を身篭らせる悪霊」という、要するに横山ノックもビックリのエロデビル。そんなファンタスティックエロティックなバンド名がしっくり来るほど、ヴォーカル・ブランドンが美形で、本気で婦女子が股間を濡らすともっぱら僕のなかで噂です。独り言でした。



 独身男性、一人暮らし、サラリーマン。そしてその食生活を助けるコンビニ弁当。

 僕もその食物連鎖(謝った表現)に繋がる者で、お世話になっております。そしてさらに、健康に良くないことは充分に承知ですが、僕は基本的に油っぽいものとかけっこう好きなので「から揚げ弁当」「焼肉弁当」みたいなものを好む傾向があります。
 その反面。コンビニ弁当のなかでは「比較的」まともな調理法の食品が詰まっている「幕の内弁当」とかにあまり手が伸びません。
 この幕の内弁当は文字どおり丸々と太った豚を連想するようにドテッとカツがのってるだけのロースカツ弁当などに比べれば、非常に手の込んだ個性が多く詰まってると言えます。でもそれが、お弁当としてのクオリティはきっと高いはずである幕の内弁当が、僕個人の嗜好によって選ばれないことが多い。

 僕にとって。このアルバムは幕の内弁当のようなものです。



 正直に書くと、僕には物足りないアルバムでした。

 冒頭で紹介した通り、非常に個性派です。しかし、単純に表面上の音を捉えて、ヘヴィロックとかうるさい音楽とかそれらの迫力を求めるなら、絶対にこのアルバムは向かないと思います。このサイトの他の音楽テキストを読んでもらえば解るとおり、僕は疾走感あるものや重激しい(おもはげしい・榎本流造語)ものと網タイツが大好きだから、incubusとは馬が合わなかったようです。

 まあとにかく、静かなロックが中心のアルバムです。

 面白いところとしては、ロック楽器を使って奏でられる音を拾って聴けば、充分に重低音サウンドであるにもかかわらず、民族楽器を始めとする様々な要素を含む本来の音楽性によって「静かなヘヴィサウンド」が形成される点だと思います。近代楽器の雰囲気が民族楽器に駆逐される瞬間とかが「3. WISH YOU WERE HERE」で見えたり、ていうか聴けたり。スクラッチもこすれるオマケ付き。

 それにしても、「incubus」なんてファンタジーテイストの単語て本来メタル系のバンドが好みそうな名前ですよね。そこをついて彼らのこの音楽性、はっきり言ってバンド名とかみ合ってないとすら思える音楽性は笑えると言えば笑える。こんな個性派さんですから、ハマる人にはすごいハマるんでしょう。個性派に対してはありがちなことなんですけど。



 いくら幕の内弁当でも、やっぱりちゃんとした料理には適わない。「比較的マシ」と言っても、所詮コンビニ弁当の話。つまり、やっぱりインキュバスはロックであるわけで、本当に癒されるような音楽を望む方はノラ・ジョーンズとかのが良いかもです。
 そんななか「9. ECHO」は自然の食材と言うべき民族楽器的生音をふんだんに使った身体に優しい仕上がりとなってます。電子レンジなどで温めたりしないで、そのままお召し上がりください。賞味期限はけっこう保つよ。




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