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初心者のためのパンクロック講座


 こんにちは。「初心者のためのパンクロック講座」へようこそ。

 なぜ初心者のためのと限定するかと言うと、実はこんなえらそうなことをサイトでえらそうに語っている僕自身も実はたいしてパンクを聞き込んでるわけでなく、また豊富な知識や経験という武器もないからです。つまり「パンクロックてどういうジャンルよ?」とか「音楽情報はミュージックステーションで取り入れてます★」という人、つまり「パンク未経験者」や「パンク初心者」ぐらいにしか僕では説明できないからです。そういう方相手に「まあこんな感じですよ」と軽く伝えればいいな、という目的でこれを書いております。だから「ハイスタ聞いてるやつはガキ」とか「コブラはクソ」というそれぞれの明確な価値観をお持ちのコアなパンクスの方々には得るものがまったくないと思います。それ以上にこっちが笑われそうだし。「うわあこいつ解ってねえよ」とか言われそうだし。言われてもいいけど。事実そうだと思うし。すごい詳しい人いっぱいいるし。僕なんてまだまだ未熟っすよ!
 さて、前口上で自分の逃げ道を確保した上で。本題に入りましょう。ちなみにこうやって逃げ道を作ってから行動に移すのは大人のずるさと巧妙さの見事なミクスチャーです。みんな見習ってどんどん卑怯になるといいよ。僕のように汚れるといいよ。

 パンクは他の音楽と違い、ある独特の論争がよく起こります。それは上記したようなケチをつける習慣、具体的には「〜はパンクじゃねえよ」という類のものです。
 音だけを聞いていれば、各楽器の音色や使い方にそんなに差があるわけでなく(少なくとも僕はハイスタがパンクに認められずオフスプがありという人の意見は理解できません、どっちもダメならまだしも)、歌詞のメッセージが同じようなものであっても「あれはあり」「いや違う」という風に意見が別れます。また、それ以上に、「メロコアはパンクじゃない」「テレビに出ては駄目」「ライブの時に『物販でCD買ってください』と言うのは引く」などのバンドの活動の方向性の部分でもいろいろあります。
 同じ音楽ジャンル内「パンクロック」でなぜこうも意見が別れるのか。また同じような音楽でも「あれはパンク」「パンクじゃない」となぜ論争が起こるのか。

 それは1つに「パンク」という言葉の定義のあいまいさにあります。そのあいまいさの理由ですが、実は「パンク」という言葉は音楽の定義ではないのです。「こういうギターの使い方でベースを際立たせ、そんでドラムの単調で速いリズムにシンバルのパシャパシャを多くすればパンクです」といった具合の、演奏方法を指している言葉ではないのです。後述しますが、この言葉には音楽ジャンルという意味以上の要素が含まれています。
 「パンク」という言葉が実は形容詞と考えれば理解が早いと思います。つまり「おもしろい」「美しい」「美味しい」などのような言葉と同じ性質を持つもので。そして形容詞が現す性質というのは基本的に人によって解釈が違うのです。ある人がおもしろいと思うマンガもある人にはおもしろくなく、またある人には美味しいと思う料理もある人には食えたもんじゃなく。このようにある人がパンクと思っても、違う人にはパンクでもなんでもなく。
 形容詞であれば、好きなように解釈できる。「これは面白いって俺が思う」という次元で好きなように解釈が可能です。その結果、「あの店おいしいよねー」「えーまずいよー」というレベルで「あれはパンクだ」「いやパンクじゃない」という論争をパンク好きたちは日夜繰り返しているのです。オレモナー。

 さて。そろそろ「ラフィンもそろそろ痛いなー」という意見をお持ちのコアなパンクス達が「このサイトの管理人、ちっとも解ってねえよー!」とかのたまってると思いますが、あえて無視して続けます。

 先ほど少し触れた部分、引用すると
>この言葉には音楽ジャンルという意味以上の要素が含まれています。
これですが、さてさてどのような要素が含まれているのでしょうか。
 ここから先は僕自身の文章能力の限界もあるんですが、何が原因で何が結果かというのが複雑に絡み合うわけのわからない展開になっていきます。もしお付き合いしてくれる方がいれば、頑張って解釈してください。

 まず。「パンク」という言葉、パンクとは何を指すか、何かと言えば。正確には「パンク」とは音楽ジャンルではありません。ここで有名な言葉を引用します。
 おそらくはファッションを売りにしていたSEX PISTOLSへの皮肉も含んでいると思いますが、かつてCLASHのジョー・ストラマーがこう言いました。「パンクはスタイルでなく姿勢である」と。形式が決まっているもんじゃねえ、と。

 「自分はこう思うからこうする」という姿勢が、根本的にパンクの基本だと言いたかったのだと思います。誰に何を言われても、臆する事などなく。それが、当時(1970年代後半)のイギリスの商業化されたロックへの不満は、そして不況による政治への不満に対し「俺たちはこう思うんだ!」という姿勢で始まったのがパンクロック、というわけです。
 「自分はこう思うからこうする」という自分および自分の価値観の確立。この土壌があって生まれた「社会への不満を歌った」パンクロック。この二重構造こそが上記した論争や「パンク系」と括らざるをえなくなった音楽的ヴァリエーションの多様化などの結果だと思います。

 で。お話は「音楽的自由度」をキーワードに進んで行きます。

 姿勢を重視したため、音楽的には自由度が高くなった「パンクロック」。サックスを取り入れたX−RAY SPEXはパンクが「この演奏を基本にしてやったらパンク」という要素を持たなかったからこその産物であるように思えます。ハードコアパンクへの移行、スカパンクの登場、ブルーハーツのような「優しさ」を歌ったパンクの出現(当時は認められなかったが、最近はありという人が増えたらしい)などは、音楽的自由度の高さの結果だと思います。
 だから鋭利な音がくっきり浮かぶメタリックなギターのGISMのようなバンドでもパンクバンドとして認識されるわけで。へヴィメタバンドがパンクロックの要素を大きく取り入れて演奏してもパンクと言われませんが、メタルの要素が強いバンドでも姿勢がパンクならばパンクバンドと呼ばれたりします。それもこういったことが理由だと思います。

 しかし、音楽的自由度の高さゆえに様々な解釈が可能となってしまった形容詞「パンク」は、その自由度がパンク好きたちのケチの付け合いの根源となってしまったのです。新しいバンドが現われてはまず「こんなのパンクじゃねえよ」とケチをつけられるのが当たり前で。
 商業化されたために停滞したロックに対するアンチテーゼとして登場したエネルギー溢れるパンクは今や保守的な価値観が蔓延していると思います。自由度があったからこそ停滞したロックを活性化させたはずであったのに。自由度があったからこそパンクは発展したはずなのに。

 と。ここまで自由度の高さを謳ってみましたが、しかしパンクを名乗るには、もしくは多くのパンクファンにパンクとして認められるには一定のラインがあります。それもまた事実。ところが、確かに存在するはずのこのラインの範囲を明確に説明することは実はできません。それは不特定多数のファンが共有する意識によって刻一刻と変化する価値観だからです。と、難しい言い回しを使ってしまいましたが、要するに「センス」とでも言うべきでしょうか。
 例えば、サッカーのルールが改定されるとしましょう。現在、ハンドは故意でなく偶然触れただけならば反則とならないことが多いのですが、それが手もしくは腕に当たった場合は全て反則とされフリーキックになる、と改定されたとします。それでも「それはサッカーと呼べる」と思う人が大多数だと思います。ところが「サッカーはボールでなくこのサイコロを使う」と改定された場合、今度は大多数の人が「それはサッカーじゃないよ」と感じることでしょう。そもそも球技じゃないわけで。
 解って頂けるでしょうか。「それはさすがにパンクじゃないよ」という一定のライン、それは上記のサッカーの例に示すような「センス」的な問題だと思います。だからそのラインの範囲を明確に説明することは誰にもできない。存在するのに誰にも明確に説明できない、不思議な存在であります。多数に認識されつつ、それでも完全に多数派が占めるものでなく。
 やはり説明が無茶区茶になってしまいました。上手く伝わらない稚拙な文章で申し訳ない。「俺はこう思うよ」というのがパンクの定義のあいまいさ、形容詞的な性質によって多様にできてしまう、その多様な価値観の集合体がラインなんですが、必ずしも多数ならいいというもんでもなく。もともとパンクは少数派のものだし。本質的に世間で多数が支持するものでないし、そういった部分も絡んで多数がパンクと思えばパンクであるというもんでもなく、そういうのも込めたくてセンスという言葉を使ったんですが、ああやっぱり駄目だ!上手く書けない!おかげでどこを強調したらいいか自分でも分からないからこうやって赤色にできないよ。できないYO!

 おっと次はサッカーも好きなパンクスに「その例えは違うよ」とのケチを付けられました。まあそんなのどうでもいいからほっといて。ちょっとグタグタな部分も出てきてしまったところだし、そろそろ逃げるようにまとめてみましょうか。いや逃げさせて。さあこっからは一気にオトすぞ。ふざけるぞ。

 これをもしかしてマジメに一生懸命に読んでくれているかもしれないパンク未経験者またはパンク初心者の方々。一応こんな感じで「僕なりの」パンクを「初心者のためのパンクロック講座」と題して語ってみましたが、いかがでしょうか。複雑な世界?もっともですね。なんか嫌な社会?もっともですね。
 それでも皆パンクが好きなんです。実はケチつけての議論も大好き。あれはパンクだとかどうとかという、実は音楽を聞く上でまったく必要ないテーマを、一生懸命に考えたり話したりするのが楽しいんです。パンクが好きな人たちは。うわあ元も子もねえ結論を言っちまったよ。
 とりあえず年配で鋲ジャンとか着てるパンク歴が長そうな人と話すときは、いきなり「俺こういうの好きなんですよー」とか言わないほうがいいと思います。下手に出ながら相手の出方を待って話をあわせましょう。

オジサンパンクス 「若いキミ、どんなパンクが好きなんだい?」
若いパンクファン 「(スタンスパンクスとか言いずらいなあ)いやまだ歴史浅いから解らないっすよ。自分なんて大したことないっすよ。それより何かオススメがあれば教えてくださいよー。(それよりすっごいトゲトゲ!)
オジサンパンクス 「そうだなあー、アメリカの×××とか、昔のカナダの■■■とかいいよ。イギリスの●●●も最近なんかいいよ。まあ知らないと思うけど、有名だよ。」
若いパンクファン 「(知らねえよ)そうっすかー今度聞いてみます!」
オジサンパンクス 「最近の日本は駄目だなあ。特に若いのは。スタンスパンクスなんてクソだからなあ。」
若いパンクファン 「そうっすよね!僕もクソだと思いますよ!スピリット感じませんもん!」
オジサンパンクス 「ははははは。」

 こんな感じでいいと思います。以上で「初心者のためのパンクロック講座」お終い。ご清聴ありがとうございます。




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