update2003.7月頃

ロック社会における女性の立ち位置
THE★SCANTY
FOUR LUCKY GIRLS  
(2003.3.26)



 僕の記憶が確かなら、cutieとかZipperとかでモデルやってる、yoppy率いる4人組ガールズロックバンド。yoppyさんは男の子の目から見るとかわいい人でも綺麗な人でもないけど(とは言いきれないか。少なくともこないだのSmart(2003年8月4日&8月18日号)に載ってたのはかわいかった)、「女の子の目」的にはきっとカリスマな方なんでしょう。そんなオサレッ子さん。音的には、ジュディマリとかヒスブルとかシャカラビとか、明るいガールズロック。
 ええと、yoppyが「男の目から見るとかわいい人でない」というのは、この文章の最後のほうで、とても重要なテーマと結びつくので、軽く頭に入れておいてくれると、この文章を読みやすいと思います。



 さてさて、今すぐロックヒーロー、または時代を象徴するバンドなどを一つ挙げてください。今すぐです。はい、ぶー。終了。
 それが男性である可能性は、高いはずです。

 エルビスもアンスラックスもビートルズもディープ・パープルもシド・ヴィシャスもカート・コバーンも押尾学も、全員男。ついでに言えば楽器屋で親切な兄さんも全員男。男が多い。男女雇用機会均等法が適用され、給女という単語までが言葉狩りに会う2003年の世でも、ロックは未だに男性支配の世界。厚化粧のおばさんたちもいずれ気付くはず。「ロックを男性が独占するのはおかしい。女性にも権利がある!」(注:こういうババアどもは『権利』という言葉の意味を勘違いしてるもんです。うちの母親や親類を中心に、生きた実例に何度も遭遇しました。)

 そして女ターミネーターが未来から送り込まれたのと同じように。THE★SCANTYが送り込まれた。

 で。(自分で書いといてなんだけど)どうでもいい前フリすっとばし。以下、ロックの世界への女性進出と、スキャンティというガールズロックバンドがなぜ女性に支持されるか、その女性心理、そしてその意味などを、僕が無理矢理に考えて、や★りますー。



 最近はロックの世界の女性進出が目立っていると思います。J-POPでもインディーズチャートを賑わすバンドにもその傾向はあって。最近とは言えないですが、遠く昔はプリンセスプリンセス、4、5年前は織田哲郎がアイドル歌手にロックの味付けでプロデュースした相川七瀬がブレイクし、昨年はカナダからAVRIL・LAVIGNE(アヴリル・ラヴィーン)が上陸。沖縄のHYには女性ボーカルが参加し、EVANESCENCE(エヴァネッセンス)もチャート上位でロングヒット。
 そして冒頭でも触れたジュディマリやヒスブルの流れでのスキャンティ。デビュー(結成)は3年くらい前だったような気が。彼女たちのスタイルは「凄い勢いで男に媚びていない」。男性人気なんてほとんどない、と考えられます。

 男性人気がほとんどない、というのはぶっちゃけ、「ルックスが男受けしない」という意味です。確かにルックスならアヴリルや相川七瀬のがかわいいつーの。よだれ出るつーの。夢見る少女じゃいられないつーの。
 しかし、ルックスが男受けしないというのは、不細工とかそうではなく。彼女たちは(男にとって都合の)「良い子のフリなんてしてない」ということです。視点を変えれば、自分たちを女の子向けにとことんアレンジしている。自分たちという素材を、男性向けでなく、女性向けに料理している。具体例として、歌詞は完全に女性視点。「コイバナ」の歌詞には「あなたがアタシにしたPRESENT」と女性視点。「PP」の歌詞にも「アタシを幸せさせてくれる人はチャンピオン」と女性視点。どれもこれも思春期的な他力本願メッセージ。彼氏に「私のこと分かってくれない」と悲観的になる心理。「甘えてる」と受け取ることができます。(ちなみにそういう部分を意図的に「アタシ」と書いてるのでしょうか?)
 「女が化粧をするのは男の目を意識しているのでなく、女同士の意地の張り合い」というのは、短絡的に犯罪に走る10代の男の子には理解できない心理だと思いますが、それは裏を返せば「女に認められるメイク、ファッションが女の世界でどれほど価値があるか」に繋がる。中学高校のクラスでも、女に好かれる女は、人気が一点に集中する法則どおり、異性人気である「モテかっこいい」とは対極の「かっこいい」が確立する。

 僕は、ロックは、かっこいいものだと思っています。実は、ここが一番言いたことなのですが、ロックが男社会であれたのは、女性に媚びなかったから、と言えると思います。そして、それは男性にとって、最高にかっこいい。女性に人気があることを指す「モテかっこいい」とは対極の「かっこいい」があるのがロックであり、今までの「男社会ロック」であったのわけです。
 もうお気付きだと思いますが。今までスキャンティを「男に媚びていない」ということが如何に特別であるかのように話を進めてきたのですが、実は異性に媚びないことはロックの原点であると思います。人気を博すものならば、なおさら。

 その意味で、もう一度言う、その意味で。THE★SCANTYは正統派のロックのフォーマットを、確かに持っていると僕は思う。
 「女がやるのはロックじゃねえ」というのは、実は「女性が女性に向けてやればロックになる」という重要なファクターが抜けています。このファクターは「ロックは女の世界ではない」ということを支えてきた重要な要素。否定はできない。「ロックは女の世界ではない」と言っているのと同じように、スキャンティは「男なんかのためにはやってねえよ」というスタイルなのです。少なくとも、女にモテたくてやってるヴィジュアル系など、地球から見たら土星まで蹴り飛ばせるほどロックだ。

 女の子の、女の子による、女の子のためのロック。ROCK OF THE GIRL , BY THE GIRL , FOR THE GIRL。リンカーンだって、「LUCKY 8」で黒人奴隷を介抱だ、いや解放だ。

 音楽的には、かわいらしさ全開。乙女心全開。明るく元気に。失恋ソングも反戦ソングも女々しいソングもちっともない。「ギターベースドラムで音楽作って歌うんだけど、どうせなら『かわいく』行こうよっぴー」とか言うノリで。それでも、正直言って、目新しいものではないです。ジュディマリの延長であって、それ以上でもそれ以下でも、それ以外でもない。でも、聞いていれば、街ではしゃぐ女子高生のように元気がでる。
 だから、女の子らしさ全開で。そうすれば、公式ホームページの、メンバーそれぞれが「好きなギタリスト」「好きなドラマー」「好きなベーシスト」「好きなヴォーカリスト」に、お互いのメンバーの名前を挙げるような、鬱陶しい価値観も全然OK!バンド内でメンバー同士を誉め合うという、ロックの世界に新しい風穴をあけてしまいましょう。ちょうどPTAの席で「あらー奥さん、素敵なお召し物ですね」とかいう感じで。
 と思ったら。ドラムのトーブだけは、好きなヴォーカリストに「yoppy」と書いていない!なんと潔い!ていうか男らしい!この人ならきっとスキャンティ解散しても芸人としてやっていける(ルックス的にも)!ちょうどレコード会社、吉本だし。だから昔、HEY!!x3に出たのか。

 しかし、吉本か。小室哲也がプロデュースしたら俺は確実に笑い死ねるよ。アディオス、アミーゴ。

 女性心理について知ったかぶっていろいろ書いたけど、やっぱり女性心理は男にとって永遠の謎だね。ぶっちゃけ。訳わかんねえって。歌詞読んでも、共感するものはないし。女の子だから思い浮かぶようなフレーズも多いし。「FIRST KISSだけが甘い思い出なんて あたしの唇を蜜蜂がなでる」という言葉はなかなか男では出★てこないと思うし、一生スキャンティをはくことも、ない★だろうしー。




back menu  site top





アクセス解析 SEO/SEO対策