update2004.4.14

STORY OF THE YEAR / PAGE AVENUE  (日本盤2004.3.10)

 スクリーム(叫び)+エモーショナル(哀愁漂う切ないメロディ)、スクリームとエモを足してスクリーモなんてぶっちゃけ微妙な呼び名が生まれつつあるようですが、そのスクリーモに属しているらしい「STORY OF THE YEAR」。アメリカ中東部の5人組バンド。
 スクリーモという単語は最初「へヴィロック」のような和製ジャンル用語かと思ったのですが、海外のサイトのレビューでも"screamo"と表記されているので、英語圏でも立派に通用する音楽ジャンル用語みたいです。なんだかドラゴンボールの「ゴテンクス」みたいで、英語に言語の壁を越えた親近感を感じてすごく良いですね。「英語の勉強したい」「身近に感じたい」という二つの欲求を持つ人は明日からこの言葉を積極的に使おうよ、スクリーモ。
 そんなことはともかく、なんだかお笑い芸人のコンビ名みたいなバンド名ですね。ボケ1人+ツッコミ4人とかだったら凄い、を通り越してよく解らない漫才ができるんじゃないかと心配と見せかけて期待。



 輸入盤リリースより半年経って、なんだか「遅すぎる日本盤の発売」です。

 THE USEDやTHURSDAYなどがアメリカで人気を博した結果、最近よく聞くロックキーワード「エモ」。エモーショナル(emtional)の略で、「感情的」「叙情的」な表現だそうです。哀愁漂うメロディ、なんて具合の表現もよく目にします(ていうか、このテキストの冒頭で使ってるんですけどね)。
 この輸入盤と日本盤のリリースの間に「日本でもエモが売れる」とい算段が立った、ということでしょう。実際、このSTORY OF THE YEARは輸入盤リリース時でさえ、相当な注目を集めていたと記憶してます。

 ただ、個人的にロックキーワードとしての「エモ」という言葉があんまり好きじゃない。

 NIRVANAは充分に「哀愁漂う」「感情的な」ロックだったと思うわけですし、それを含めつつそもそもロックなんて初めから感情剥き出しのものだと認識してましたので、今更あんまりエモエモ騒ぐのは何だか雑誌やメディアの追随にしか見えないのがちょっと気になるところです。



 まあそんな理屈抜きに。バンド名はともかく、このSTORY OF THE YEARは哀愁漂うメロディに叫びを加えることにより、ロックへのエネルギー転換を効率良くさせてることは間違いない。印象に残る楽曲ばかり。印象に残る叫び、が多いのかな。何せ1曲目の最初のフレーズ「The night will come」は叫び声。言い換えるとアルバムを再生させて23秒で叫んでることになるわけでして。バンド名はともかく早漏気味じゃないのか、褒め言葉として。
 まあとにかくよく叫ぶし、突然叫んだりするんですよね、バックコーラスも含めて。アクセントとしていい感じですよ。

 バンド名はともかく「スクリーモ系だね」と括られる割には楽曲の方向性は豊かです。
 「2. UNTIL THE DAY I DIE」はやや韻を踏んだタイトルどおりの切なさストレートの楽曲で、まさにストーリーを持つかのような曲展開が全体を引き締まらせていて、何度聴いてもそれが心地良いし。「4. IN THE SHADOW」は叫びばかりのアルバムの中に気まぐれのように「おーぉー」のコーラスが主体の曲で、それがむしろ際立つし。そんな中にも「6. SWALLOW THE KNIFE」「9. SIDEWALK」などはハードコアとかパンクとかの要素を一切排除した楽曲であり。アルバムを締める最後のトラックである「12. FALLING DOWN」は理想的なメロコアソングだし。

 なんと感情豊かなロックだろう。バンド名はともかく。



 あと最後にちょっと付け加えるけど、ジャケットがすごい変なんですよ。変ていうか、何を狙ってるのか、深い意味があるのか、さっぱり解らない。解らないけど、すごく印象に残るものです。実物は上の海外サイトに載ってるんで、「音楽に興味ないけど気になる」と言う方は是非そちらをご覧ください。ていうか、バンド名はとにかくこれを機にロックに興味を持ってくれるとちょっと嬉しいんで、是非見て頂きたく。
 「PAGE AVENUE」てタイトル、僕の英語力では「記録の街路」とか、そんなニュアンスしか浮かばないんですけど、それにしても「avenue」とは少し離れる、どちらかと言えば都会じみた(しかも人工性をとても感じる整理された区画)に巨大な人型の影(やや変な形とポーズ)はちょっと不釣合いかなと。
 どういう意図でこのジャケットなんでしょうね。印象に残るのスクリーモ。




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