update2004.5.16

AVRIL LAVIGNE / UNDER MY SKIN  (2004.5.12日本盤)

 2年前のデビューアルバム「LET GO」が日本で200万枚、世界で2000万枚というセールスを叩き出したカナディアンカワイ子ちゃん(気の利いたダジャレのつもり)AVRIL LAVIGNE、アヴリル・ラヴィーンちゃん。現在19歳。
 プロデューサにリンキンパークやグッド・シャーロットを手がけた人(ドン・ギルモア)やセヴンダストをプロデュースをした人(ブッチ・ウォーカー)を迎えての待望の2ndアルバムがこちら「UNDER MY SKIN」。皮膚の下にある彼女の内面の発露というニュアンスで付けられたアルバムタイトルでございまし。世界に先駆け日本で先行発売。



 プロデューサがプロデューサなんで、いたるところで目にする評価「ロック色が強まった」ことは異論のないとこです。しかもアイドルロックとしては比較的重い音で、そこにアヴリルちゃん得意の(得意?)アコースティックギターの音を混ぜたりして。基本的にはそんな音造りです。

 ただ、僕は音楽性の変化よりファッションの変化の方が大きいと感じます。
 ジャケットや歌詞ブックレットのアヴリルちゃんの写真のカッコウはもちろん、それらのデザインのイメージに至るまで。まさかこんなすっごい不思議ちゃん路線になるとは思いもよりませんでした。

 「LET GO」の頃のジャケ写真やプロモーションビデオで登場する17歳アヴリルちゃんファッションによって、アヴリルちゃんは世界中のスケーター少年に恋の魔法スキトキメキトキスを掛けまくることに成功した後に、今度はそのスケーター少年が苦手としているもしくは笑いモノとしているカッコウに走るとは。口紅超赤いし。
 仲間(男)に囲まれた(それでいてちっともいやらしくない)イタズラ好きの元気なドドンパ娘のイメージはどこへ。そのスカートじゃマトリックスばりのワイヤーアクションのダンクシュートはできないじゃん。

 今回の2ndアルバムのこのキャラ作りは、プロデューサ側から出たのか、アヴリル自身から出たのか。



 これがプロデューサ側から出たとしたら。

 マーケットとして今回はスケーター少年からそのそのあたりの不思議ちゃん少女を狙ってる、ということなんでしょう。歌詞ブックレットの写真のさ、あの廃墟みたいな病院のぼろいベッドで横たわる姿なんて、新宿のマルイワンあたりに居る人たちが放ってる(もしくは「放ちたい」と思っている)オーラの象徴でしょ。
 ベン・ムーディ(元エヴァネッセンスのギタリスト)が製作に参加した曲があるのも関連して、2003年で最もブレイクした新人バンド・エヴァネッセンスの支持層に食い込もうとしてるかもしれません。エイミーちゃんよりアヴリルちゃんの方が断然かわいいから、行けると踏んだか。こっちのが小柄でかわいいし。

 ただ、「DON'T TELL ME」のプロモーションビデオではデビューアルバム「LET GO」のときの雰囲気である鋲ベルト巻きロックファッションで登場しましたし、ミュージックステーション出演時も不思議ちゃん路線にしては地味でしたし(ちょっとヒラヒラしてるくらい、むしろセクシー)。ジャケットでそういう雰囲気を醸しつつも目立つところでは今まで近いイメージで登場し、スケボー好きロック少年層も引き続き手堅く抑えておこうというとこでしょうか。
 散々「不思議ちゃん」と揶揄しながらも実はああいうカッコウは嫌いじゃない僕ですけど(メイドの人はちょっと)、でもやっぱ比較の話では17歳のアヴリルちゃんファッションのが好きだなあ。めちゃくちゃ似合ってるし。タンクトップにネクタイ巻くなんて、アヴリルちゃんだから似合うっつーの。



 これが、アヴリルちゃん自身から出たものだったら。

 つまり、「もう充分に売れたから、彼女の好きにやらしてみよう」という結果、今作のような彼女の素の部分が出てきた、ということになるでしょう。実は、アヴリルちゃんの中の人はPEACE NOW(ファッションブランド)とか大好きな人でした、みたいな衝撃の展開。そこにプロデューサ陣が音と肉を付けていく。この展開は強烈だ。
 もっとも、これはちょっと考えにくいですけどね。どこまでいっても彼女は最高の商業価値を有したアイドルシンガーですから。



 そして、そのカッコウで歌い上げるのは、まあロックではよくある表現ですけど、心の傷とか痛みとかを現すようなトラウマロック。今作「UNDER MY SKIN」は、そんなアルバムです。不思議ちゃんスタイルで重い音と重苦しい雰囲気でトラウマを歌う。

 要するに暗いってこった。

 ただ、前述の元エヴァネスのギタリスト、ベン・ムーディが製作に関わったからこの路線、と言うわけではなさそうです。彼の名前がクレジットにある曲は1曲な上にちっともエヴァネスぽくありませんでした。
 とにかく、ポップスとしては前作の方が聴き易いんですけど、僕個人はこっちのが好きですね。もともとロック好きだし。ややクセがある甲高い声のパートは、こっちの音楽のほうが合うだろうし。アルバムの出だしを飾る「1. TAKE ME AWAY」とかいい雰囲気だしてますよ。暗いときにどんどん一緒に沈んでくれるような。



 結局、大胆に変えたなという印象は残りつつ、「LET GO」のときと同様ずいぶんキャラクターが確立してます。とりあえず、現在来日プロモーション中なのもあって、どこへ行っても売り出し中。サマソニまでこの人気は維持されそうです。北方領土を返さない国の田舎アイドルのようにドタキャンとかしなければね。
 もっとも、アヴリルちゃんがどんなプロモーションを展開しようと、僕はアヴリルちゃんがかわいいから聴いてますけどね。耳で聴くんじゃねえ、目で聴くんだ。という具合に、商業音楽を正しく消費してます。サマソニも行くし。今日もアヴリルちゃん、世界のどこかでかわいいなあ。




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