update2005.4.28

マキシマム ザ ホルモン / ロッキンポ殺し  (2005.3.2)


 ミクスチャー。それはヒップホップ文化が混じった故か、悪そうなヤツはだいたい友達な強面(コワモテ)の兄ちゃんたちの間に広がった音楽でした。

 しかし世の中変わるものです。犯罪の低年齢化、初体験も低年齢化、中学生がホスト始めるこのご時世。世の中が豊かになった結果、ガキが価値も解らねえクセに金を持ち大人ぶり始めました(そのクセ刑罰等の社会的制裁が甘いのはむしろ不公平。ガキどもの望みどおり厳罰をくれてやれ)。パンクロックの世界もすっかり低年齢化したわけですから、そりゃ強面の兄ちゃんたちの世界が低年齢化したっておかしくない。

 そこで登場です。マキシマム ザ ホルモン。八王子出身、キッズのための4人組ハードコアミクスチャーバンド。「面白そうなヤツはだいたい友達」を合言葉に展開する、褒め言葉としてお子様向けの強面ロック。
 笑いに徹するライブや馬鹿っぽさを強調したPV("ROLLONG1000tOON"とか撮影風景そのものがすでに馬鹿全開)、意味不明な歌詞がメッセージ性があるような無いような、まあそんな要素を文字通りミックスした今熱い日本のインディーズ/ライブシーンのバンドの一つです。
 そんな彼らの最新アルバム、"ロッキンポ殺し"。オリコンウィークリーアルバムチャートに週間推定売り上げ数9309で27位に初登場。レジに持って行きにくいジャケットにしては健闘です。





 パンクという単語がどのあたりの音楽を指しているのかよく解からなかったけど、J-POP含め日本のうるさいロックが好きだった頃。セックス・マシンガンズを初めて知ったとき、このバンドすっげえ良いなあと夢中になりました(この頃ハマってた数少ない洋楽バンドは"HELLOWEEN")。面白い歌詞にテレビに出たときの変なキャラ、ライブも首振りながら演奏してしかも曲の合間合間に何か叫んでて楽しい、それでいてやってる事は正統派のメタル。

 面白い、でもかっこいい。当時の自分には非常に新鮮なものに感じられました。

 ジャンルは全然違うんだけどさ、マキシマム ザ ホルモンというバンドからはどうしてもマシンガンズを連想してしまいます。面白い、でもかっこいい。
 強烈なキャラクターを放ってるけど、このキャラクタというフィルタを外して見てみると、実は音が硬派なハードコアで、日本語歌詞なのに日本語っぽく歌わない、そんな正統派の強面ロック。よく見るとベース・ギター・ドラム・キャーキャーうるさい人、それぞれが色んな意味で怖い顔しとるしね(「色んな意味で」をここで強調しておく、いきないかわいくてすいません)。
 それでいて、ネットでの評判で「演奏が上手い」と言うのがあったし(僕個人は演奏の上手い下手はよく解かりません)、その部分に惹かれているファンが多いだろうことはここのアンケートの結果(現段階、1位-ライブパフォーマンス 2位-ライブ 3位-テクニック)を見る限り想像に難くないわけです。

 面白い、でもかっこいい。ただしここで明言しておくと、今の自分にとってこれは特に新鮮なものに感じられません。





 新鮮なのはね、キャラ作りの部分。前出のマシンガンズに比べて、キャラの作り方がずいぶんと徹底してます。ここまで徹底している部分は絶対に売れ方、マーケットのリアクションに結びついてるだろ、と見ています。

 笑えるライブ(基本)に変なジャケット、奇抜な曲展開、タイトルはストレートなのに歌詞は意味不明、(何だか間違った方向に)個性豊かなメンバー。などなどのように、他のバンド(特に「正統派」なバンド)と比べてみると様々な要素が盛りだくさんです。今でこそ売れない商品のまとめ売り感がギンギラギンさりげなく(でもたっぷり)のモーニング娘。の、デビュー当時を彷彿させるお得感。
 だけど、それらの基本はどれも単純極まりない、解かり易いものばかりです。これが大事。

 この文章の冒頭部分でも触れたけどさ、ぶっちゃけた話この解かり易さはお子様向けのものですよ。曲タイトルに「アナル」とか「糞メリケン」とか付いとるし。こりゃ確かに良い意味でも悪い意味でも「大人」な方々が夢中になるバンドじゃない。
 僕がこのサイト内で繰り返し主張してることなんですけど、青春おパンク大流行はリスナーおよびマーケットの低年齢化が原因だと考えます。音楽を購入する年齢層が低下した結果、解かり易い音楽が支持されるようになった。そんななかで、マキシマム ザ ホルモンが支持された。

 ちょっと余談だけど、音楽を聴く層の低年齢化を嘆くつもりも最近のパンクはどうだと言うつもりも全くありません。この現象自体は、音楽を楽しむ層の裾野が広がるだけのことですし、これはむしろ「いろんなロックが出てくる可能性が広がる」という意味で歓迎すべき現象だと思ってます。ロックの低年齢化は確かにあるけど、別に大人が聴く音楽は今までどおりちゃんとCD屋で売ってるわけじゃんね。テレビの視聴率至上主義によって時代劇が無くなったことの方がよっぽど深刻な被害を受けた人は多いはずだろうが。喚くな、悪い意味の大人野郎ども。

 話を戻すと。これらのことに関してはその画風だけでインパクトを与えて話題になった、つまりは少年ジャンプの漫画の低年齢化の象徴である漫★画太郎氏がアルバムジャケットを担当してることが実に象徴的なことです。彼らのコンセプトは同じだ。





 まあキャラとテクの合わせ技なんでしょうね、結局。先に言及した「音楽的なテクニック」以外に、その確立したキャラをライブで生かすテクニックがそこにあるのも確か。こりゃ強いよ。芯があるけどキャラが確立してるバンドってのはやっぱり強いです。

 お気に入りトラックはダントツで#2"包丁・ハサミ・カッターナイフ・ドス・キリ"。どれくらい気に入ってるかと言いますと、僕のパソコンのiTuneには現在で約5,000曲入ってまして、"包丁〜"は何と再生回数ランキングで6位です。一時かなりへヴィロテしてたからね。上位にVIRUSやらA G LOBAL THREATやらCROPKNOXなどのストリート系パンクがひしめく中、AVRIL LAVIGNEの"COMPLICATED"(7位)と並んで異彩を放っております。

 以上、WEBサイトでゴタゴタ理屈を並べるロックインポ野郎がお届けしました。んめぇ!


公式サイト:http://www.55mth.com/main.html




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