update2004.2.29

rage against the machine / rage against the machine (1992.11.10輸入盤)


 今の社会構造は警察暴力から経済機構などの社会組織全全てにおいて、
 理解力や慈悲を持たないマシーン(機械)だ


 そんなマシーンに対し反抗(rage against)するバンド、rage against the machine。彼らは広末涼子も大絶賛する(とってもとってもとってもとってもとってもとっても大好きよ)、1990年代のロックシーンに大きな影響を与えたミクスチャーバンドであり、そしてこのセルフタイトルのアルバムが彼らの衝撃デビュー作。

 このrage against the machineについては4人のメンバーの育ってきた環境と音楽の趣向がミクスチャーを育てた土壌であるとか、革命家・活動家の血筋が音楽の革命を生んだとか、すでに様々なレビュー・評価が世に生み出されているため、今更、僕が彼らについて語れることはほとんどありません。感想を書いたとしても、きっとどこかにありそうなことしか書けないと思います。
 だから、彼らについての感想、評価を書くという観点から一回離れてみようと思います。
 彼らを使って、自分を書いてみようと思います。

 具体的には。
 僕の立ち位置を明示し前面に押し出して書いてみようと。

 サイトの文章なんて全部自分中心のものであることは百も承知なんですけど、それをより一層意識して自分語りを楽しんでみようという試みです。

 最近、音楽ことロックに関して「世代」「背景」というのはかなり重要なものであると解ってきた気がします。音源やバンドたちを文字に分解し文字に再構築することをこのサイトでずっとしてきたのですが、それは「レビュー」と呼べる行為(僕はレビューと呼べるものとは違うと思うので音楽テキストとしてサイト内でくくってます)のなかではより一層重要なことじゃないかと。今まではなんだか僕の立ち位置が曖昧だった気がします。
 だから、意図的に自分を書いてみようと。



 僕にはディープパープルとかのハードロック、ある意味極めて「機械的な音」に高い声のラップが被っているようにしか聴こえません。歌詞カードを見て、解る範囲で翻訳してみたんですけど、確かに政治的様々なメッセージ、皮肉と見られる言葉が並んでいますが、日本人として共感を覚えるところがあまりありませんでした。またジャケットのベトナム戦争反対を唱えて焼身自殺した僧侶を選んだという意図は解るのですが、衝撃的かと言われると決してそうとも感じられません。

 ただでさえ国が違うから感じ方が違うのに。その時代に触れることができなかったから、僕はその時代にrage against the machineを聴いた人の伝聞でしか、彼らに触れることができない。何かのレビューを読んだりして、知ったつもりになることしかできない。

 僕はつくづく、後追いのロックファンでしかないなと思います。正確には、今現在触れている部分よりも、後追いしている部分のほうが圧倒的に多い。
 日本に関しては中学校以降のJ-POP、96年からのインディーズ/ライブバンドシーン、あとはここ2、3年で少しずつ洋楽のメジャーなパンクシーン、うるさいロックシーンに少し近づいただけ。90年代初頭のrage against the machineが登場した「オルタナティブ」という現象の頃は海の向こうのロックなんて知りもしなかった。きっと、ロックファンとしてはまだまだ狭い、狭すぎる。
 中学校の歴史でベトナム戦争は習った。でもそれはロックに結びつかなかった。そんなロックファンです。

 学校でロック習ってたら、そこからベトナム戦争に結びつくかもね。学校が教えてくれるロックに意味があるかないか知らんけど。



 いまはANTI FLAGの「THE TERROR STATE」もNOFXの「AMERICAN ERRORISM」も今現在起こっている社会現象と結びつくし、日本の僕が知る限りの売れているパンクバンドに小泉首相を批判的手法として馬鹿にしたパンクバンドがないことも知っている。自分の部屋をしっかり与えられているパンクキッズが政治にも不景気にも年金にも無関心であり、それをよく知っているから「売れようとするパンク名乗り」がパンクの姿勢として政治批判的メッセージを込めないのもなんとなく解る。
 いま聴いている、いま、いろんな背景を考えながら聴いている、感じている、なんとなく解る。僕はいま現在、新譜としてリリースされる音源をそんな風に楽しんでいるのです。これは、すごく楽しい。
 本当は、rage against the machineはもっと楽しいものだったはずです。あのジャケットを見て、あの独創的な演奏法でびっくりできたはずです。ミクスチャーに関しては惜しいことにrage against the machineを聴く前にDRAGON ASHも山嵐も知ってしまっている。受けるべき衝撃は予備知識をしっかり持ってしまってために軽くなってしまいました。そして軽くなったぶんの残りの衝撃は、どれほどのレビューでも追加できません。誰かもっとぶん殴ってくれ。

 「rage against the machine」は、僕のロックファンとしての空洞の象徴です。
 冒頭に書いた、別に強く共感が感じられるものでもないけど、「当時、衝撃的だった」と言うことを伝聞で知ってます。結果、存在感あるバンドとして空洞の中心にいる。





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