update2004.10.13

(INTERNATIONAL) NOISE CONSPIRACY / SURVIVAL SICKNESS (日本盤2002.9.21)

 98年結成のスウェーデンのバンド。スウェーデン内で人気の高かったハードコアバンドREFUSEDの解散後にそのフロントマンであるデニス・リクセゼンが中心となって結成されたバンド"THE (INTERNATIONAL) NOISE CONSPIRACY"の、2000年にバーニングハートよりリリースされた2ndアルバム。
 たぶんこのバンドのCDを買った人より、エピタフの"PUNK-O-RAMA"シリーズを購入してる人のほうが多いはず。最近(?)の"PUNK-O-RAMA"シリーズに収録されてるので、持ってる人は要チェック。



 一言で言えば、非常に印象に残る。ただし、メロディじゃなくて、音が。音楽でなく、音が。

 HIVESを彷彿させる(実際にけっこう似てます)ガレージロックを基本に置きつつ、そこに一風変わった音を目立つように配置する。これがこのTHE (INTERNATIONAL) NOISE CONSPIRACYの音作りの基本です。
 実はメンバーにキーボード奏者がいまして(彼らの所属レーベルのサイトには「オルガン」と表記されてます)。この中毒性のあるこの「一風変わった音」、実はこのキーボードで演出してるんですね。
 これが山田花子の処女膜をぶち抜くほどの破壊力を示してくれるのはトラック2の"THE SUBVERSIVE SOUND"です。ひたすらシンプルな繰り返しに徹する、「ぎょきゅーぎょきゅーぎょきゅーぎょきゅー」の繰り返しは最高にカッコいいですよ、決して山田花子の悲鳴でも嬌声でもなく。これは、クセになる。
 それでいて、ギターやドラムといった他の楽器の音も非常に作りこまれたものです。「ガレージ」という印象を崩さずにいろんな表情を見せるあたりは聴き応え充分ですよ。

 そして英語圏にいない我々には伝わりにくいんですが、彼らはかなり社会的なメッセージの強いバンドです。よっぽど言いたいことがあるのか、ブックレットにはANTI-FLAGもビックリの歌詞以外の英文の山。しかも日本盤にそれらの対訳までついてる(もちろん歌詞の対訳もあります)っていうから、そこからもこのメッセージへのこだわりが感じられます。歌詞以外に対訳が付いてるとか初めて見ましたよ。
 さらに"SMASH IT UP"のプロモーションビデオもいろんなメッセージが散りばめられたものです。これはB級映画の傑作"ゼイリブ"を観てる気分ですよ。ちなみにこのリンク先(アマゾン)のレビューは必見です。「友人と殴り合うシーンで、これが延々と続き、終わったかと思うとまた一勝負始まるのだ」とかもうどんな話だよ。

 他にもみんな同じスーツやコスチュームでライブをするとか、デニス・リクセゼン(ヴォーカル)のシャウト含め歌い方などライブは定評のようですし、トータルでいろんな要素を持ったバンドです。



 まあ正直に言えば明確なテーマを持ったコンセプトバンドです。ある意味、日本のテレビ番組の企画モノバンドと紙一重の要素はありますよ。

 彼らの国、スウェーデンの詳しい内情とか一般人の認識なんてのは解らないんですが、スウェーデンのロックシーンで大物バンドのメンバーが「同じ志で集まった」だけでもそんな面を持ってしまうのは仕方ないことです。例えば矢沢栄吉と布袋寅泰とYOSHIKIが集まって「僕たち同じ志です」なんて言ってロッケンローのポイズンがバラだったら笑うでしょ。
 まあこれはちょっと飛躍した喩えですけどね、キャラ全然違うし。しかしこういうバンドだからこそ、語るべき要素、面白い要素は非常に多いです。しかもそれらは上述のように全部解り易いものなんで、もっと広くに聴いてもらえるバンドじゃないでしょうか。僕はこの解り易さを多く持つことこそ「売れ線」だと思ってます。

 スウェーデン発のガレージと言ったらHIVESの次はやはり彼らでしょう。と言っても、日本じゃまだまだ売れてませんけどね。知名度もイマイチだし。騒音の陰謀(NOISE CONSPIRACY)を果たすにはもっとインターナショナルになってからのようです、頑張れ。だからINTERNATIONALは()つけてるのかよ。そんあ控えめなあなたたちが大好きです。
 好きな曲はトラック2"THE SUBVERSIVE SOUND"とトラック11"ENSLAVEMENT BLUES"。

オフィシャルサイト:http://alt.digitalfarmers.com/tinc/




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