VITAMIN X / RANDOM VIOLENCE (2003.11.01）

　オランダ産の身体に良さそうなバンド名のハードコアバンド。の、強烈なタイトルのアルバム。

　ビタミン繋がりですが、まるでレモンを絞ったかのように濃いですね。濃厚で暴行ですよ。1曲の中に繰り返すパートが極端に少ない。いや、正確にはサビなどは何度も繰り返しをしてるのですが、恐らくバンドの姿勢として「贅肉のように無駄な繰り返しを行っていない、健康的なビタミンスタイル」と表現してみたくなるものが挙げられるのではないでしょうか。ていうか1曲の途中で突然に雰囲気を変えたり、突然ギターが激しい動きを見せたり。18曲18分でありながら、そうは思えないほどの厚み（濃さ）を見せてくれます。すっげえや。
　そして、無機質なハードコアサウンドの割には、濃い酸っぱさを感じやすい。レモン絞りたて、VITAMIN X。
　こういうバンドを知ってしまうと、「ああ自分はまだまだパンク初心者なんだなあ」と思いつつ、「まだ自分が見たことない領域がある！」という喜びを感じたり。世界って広いようで狭いけどやっぱり広くて尚且つ深い。

　反戦ソングがいくつかあります。そのなかでも得に目をひいたのが2曲目のSHOTDOWN。歌詞で登場する「'42」「'68」「'91」はそれぞれアメリカの「太平洋戦争参戦」「ベトナム戦争」「湾岸戦争」ですよね。アメリカのバンドがアメリカを批判する、いわゆる国家的自浄作用はよく見るのですが、ついにオランダのバンドにまで槍玉にされたか。ロックの自浄作用はついにグローバル時代へ。
　とりあえず不健康そうな国に、このビタミン注射でもしてやれば、世の中もうちょっと健康になるかもよ。